動物看護師物語Vol.6
- Risa Inaba
- 2020年1月3日
- 読了時間: 6分
今回ご紹介するのは、動物看護師歴28年!
シングルでふたりのお子さんを育てている48歳の大先輩、小田由香さんにインタビュー。
なんと、お子さんも動物看護師さんで、親子2代の動物看護師さんなのです!
そんな小田さんにインタビューを依頼したのは、小田さんのこんな発言を聞いたから。
「母としてより、動物看護師として子供の記憶に残りたい」
「生まれ変わっても動物看護師になりたい!」
小田さんの動物看護観や動物看護師という仕事をどうとらえているのか、13の質問で深堀します!

1:小田さんの経歴は?
高校卒業後に、トリミングの専門学校に行きました。
その後動物病院に就職。
結婚を機に病院を退職しましたが、やっぱりこの仕事が好きで。
ブランクはありましたが復帰したくて、ますだ動物クリニックさんにお世話になりました。
2:動物病院での仕事はどうでしたか?
トリミング学校卒業ということもあり、最初の頃は病気の知識は乏しかったですね。
だから病気の事を学びたくて、診察の補助にはどんどん入りました。
先生がオーナーさんに話す内容を聞きながら、自分も勉強しました。
診察に入ると、保定もうまくなるし、病気や検査の事も分かるようになって、どんどん楽しくなりました。
若いスタッフさん達にも、ぜひおすすめしたい勉強法ですね。
3:この仕事が嫌になった事は?
ない!
4:じゃぁ、挫折は?
ない!
とにかく動物たちが好きだから。
特に若い時は夢中で、毎日仕事に行くし、それが楽しくて仕方がない!
行きたくないと思った事が無い!
忘れちゃってるだけかな?!(笑)
仲間に恵まれて、尊敬する先輩にも出会えたし。
でも、確かに、長く仕事をしていると、辛いと思うこともあるし、行きたくないと思う日もある。
そんな時は我慢する事も大事かなって。
それでも動物が好き、この仕事が好きという気持ちは、変わりませんね。

5:尊敬する先輩は、どんな方だったんですか?
人が嫌がる仕事でも、率先して実践する方です。
その姿を見て、私達スタッフが「自分達がやります」と申し出た時も、
「じゃあ、一緒にやってくれる?」と。
感情的に怒ったり、威張る事もない。
その姿を見ていたら、
「自分達がもっとやらなきゃ」
「もっと頑張りたい!」
そう思わせてくれたんです。
私にとっては、もう一人のお母さんであり、この仕事の原点といえる方ですね。
感謝しかないです。
6:今は院長先生をはじめ全員が年下で、
自分の子供世代のスタッフとも一緒に働く小田さん。
後輩指導の悩みはありますか?
年齢は離れているけど、プライベートな事も含めて何でも話せる関係ですね。
逆に、私が相談にのってもらうこともあるくらい。(笑)
悩みというほどではないですが、「価値観が違うのかな?」と感じる事はあります。
自分にとっては当たり前だったり、正しいと考える事が、若いスタッフと違っていたり。
でも、そこでただ怒ったり、怒鳴ったりするのは負けだと思うんです。
冗談にものっていくし、明るく笑って対応する事を心がけています。
つい、
「最近の若い者は~」
「私たちの頃は~」
と言ってしまいがちだけど、それも違うと思います。
やっぱり、一人ひとり、その個人を見る事が大事だと思っています。
7:小田さんが看護で気を付けている事は?
私は、オーナーさんにとって身近な看護師でありたいと思っています。
方言の強い地域なので、丁寧なだけではなく、相手の方言に合わせて話をすることで、懐に入り込める。
そうすることで、オーナーさんもリラックスして、診察室では言えない本音を話してくれる事があるんです。

8:そんな小田さんでも、時にマイナス思考に陥る事もあるそうで…。
私の年齢だと、「できて当たり前」の年齢。
できない時には、「何でできない?」と言われる年齢。
だからこそ頑張るんですけど。
上手くいかない事が重なると、マイナス思考になってしまうこともあります。
いくつになっても「自分を認めてもらいたい」と思う気持ちがあります。
実はそれは、オーナーさんも同じです。
頑張って通院したり、投薬したり。
それを当たり前と思わずに、誉めたり感謝したりすると、モチベーションになりますよね。
そんな時には、プロとして認めてもらうためには、人として認めてもらえる存在でないとダメなんだなと実感します。
9:動物との思い出は?心に残る体験はありますか?
沢山ありますが…初めて飼った柴犬のことですね。
歳をとって、痴呆の症状が発症したんです。
脳腫瘍の可能性もあり、安楽死も勧められました。
正直、お世話は本当に大変でした。
でも、家族ともたくさん話をして、最後まで看ました。
最後は、その子が好きだったいつもの散歩道を、車でドライブしました。
動けないので、車の中で家族に抱かれながらのドライブ。
でも、元気だった時のように尻尾を振って、すごく喜んでくれた。
その数日後に息を引き取りました。
だから、介護の大変さもわかるし、
葛藤するオーナーさんの気持ちもわかる。
そういう自分になれたと思っています。

10:小田さんはどんな動物看護師として子供の記憶に残りたい?
獣医師から治療のパートナーとして信頼される存在として、記憶されたいですね。
一緒に治療や看護を検討できるような存在。
だからこそ、学びが重要ですよね。
若い人に交じってでも、新しい事にどんどん挑戦したいと思っています。

11:獣医師ではなく、生まれ変わっても看護師としてプロであろうとするのはなぜ?
「ふれあい」、患者さんとの心の距離かな。
人とも、動物とも、近くで触れ合っていたいんだと思います。
私自身、子どもを病院に連れて行った時に、「先生には言えないけど…、この人には言える」という看護師さんがいました。
一緒にいる時間の長さも、動物看護師と獣医師とは違いますよね。
私は、診察室の中だけではなく、受付から検査、診察、会計まで、ずっと一緒に過ごしたい。
だから「看護師」なのかもしれません。
やさしく、包み込むような思いやりや、寄り添う気持ちを持って看護をしたいです。

なるほど!
心の距離と一緒にいる時間を大事にしているんですね。
12:心の距離が近づいたと感じるのはどんな時ですか?
中には私の顔を見て、
「安心したよ」
と言ってくださるオーナーさんや、
知らないうちに名前を覚えてくれた方もいらっしゃる。
そうなると、お互いに表情から気持ちを感じ取ったり、髪の毛を切った変化に気付いたりと、心の交流も深まっていきます。
そういうオーナーさんとのコミュニケーションが、楽しみであり、やりがいであり、支えになっていますね。
13:これからの目標は?
歳を理由に自分を制限しないこと!
「歳だから~」
「もう遅いから~」
と、言い訳にしない。
自分が学びたい、やってみたいと思った事はとことんまでやりたい。
学べる機会は全部自分のものにして成長したい。
ここまでやってきたし、まだまだ自分もできる!
そして笑っていないと病気になっちゃうから、笑顔でいたいですよね。
元気な笑顔で語ってくれた小田さん!
4時間もお話したのに、まだまだ聞きたい事が盛りだくさん!!
インタビュー、ありがとうございました!
小田さんの勤務するますだ動物クリニックさんの情報はこちら
http://www.masuda-ac.jp/
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